こんにちは!
歌舞伎を観るためにはるばる大阪から銀座まで来ました、歌舞伎初心者のかぜぱです!
なぜ急に思い立って初めて歌舞伎を観に来たのかと言いますと、中国に行った時、なにか中国の伝統芸能が観たいということで、お面が一瞬で変わりまくる「変面」という芸能が観れる場所を探していました。
あいにくコロナ禍で公演をやっているところはなく、残念に思っていた時にふと気付いたんですね…
私、中国の伝統芸能観る以前に日本の伝統芸能観たことないやん…
と。
エンタメ界隈で生きている者としてこれはいかなる事かと。
帰国してからまず大阪で公演をされていた野村万作さんと野村萬斎さんの狂言を観まして、これはこれは衝撃を受けました。
狂言ときたらあとは歌舞伎と能を観なければ!と思い、勢いで東京銀座にやってきました。
というわけで、それがし、初心者で専門用語を知らぬゆえ、大変稚拙な文章になりうることをご理解いただきたい。
完全初見で歌舞伎を観た者の、拙い感想を聞いていただければ大変嬉しゅう御座候ッ(言いたいだけ)
勢いで観れる
開演前、東銀座まで行く電車がかなり遅延していて歌舞伎座に着いたのは開演20分前。
急いで筋書きを1500円で購入して座席で読んでいましたが全然頭に入ってこない。笑
というのも言葉が少し難しいのに加え役名が多くてこれ、どこの何の人?状態。
市川猿之助さんが何回も早替えするという前情報は得ていたのですが、あらすじは筋書きで予習しようとしたのが電車の遅延によって仇となり、よく分かっていないまま開演時間を迎えてしまいました。
しかし…なんとなく分かるぞ!
ストーリーが分かっていなくてもその人物が何者なのかよく分かっていなくても、演者さんの仕草でどういう人なのかが感覚で伝わってきます。
悪い顔してんな〜と思ってたら案の定悪かったり。
なんか綺麗だけど不気味だな〜と思ったら幽霊だったり。
分かって観た方がもっと面白いのかもしれませんが、分からない状態で観る事でより、演者の所作を深く見れた気がします。
市川猿之助さんのオーラがすごい
市川猿之助さんはテレビで何度か拝見したことがあったので素顔は知っていましたが、出演者全員白塗りで登場。笑
最初に猿之助さんではないお二人が舞台にいて会話をするシーンから始まるのですが、初心者なので
「え、これ、どっちか猿之助さん?」状態に陥りました。笑
多分違うかな…?程度の解釈でしたが、その二人がハケた後に奥の幕が上がって登場した女方の演者を見て
この人が猿之助さんやぁぁぁ
ってなりました。
1階ですがかなり後ろの席だったのであまり顔がはっきり見えるわけではなかったのですが、もう、遠目でも分かるくらいなんかもう存在感が
「私ですが?」
って言ってるかのような、ザ・主役の出立ちでござんした。
その後も猿之助さんは何回も性別も立場も違うさまざまな役に早替えして登場する時に
「私だ」
と言わんばかりの存在感で出てくるからもうこちらとしては「でたーーーー!」という気持ちになります。
主役を張るような人が持ち合わせているこの覇気みたいなパワーは一体何なんでしょう。
狂言を観た時に野村萬斎さんにも感じた、もうその人にしか目が行かない存在感。
ビジュアルが良いから見てしまうとかそういうものではなくて、この人を見ておけば間違いないと思わせる何か。
舞台に立つということは深いですね。
香川照之さんに似てる思ってたら香川照之さんだった
お恥ずかしい話、私、香川照之さんが歌舞伎界に入ったことを完全に忘れておりました。笑
ニュースは見ていたので記憶の奥の方にはあったのに…
歌舞伎界では市川中車というお名前でやられてたんですね…
栄御前というかなり大御所そうな女性の役で出てきたのですが、遠目で見ても、この人めっちゃ権力持ってるわ。裏で色々糸引いてそう…と言う感じの出立ちで、まあドーンとしてました。
その段階で、あれ、白塗りだけどあの…倍返しの…半沢直樹の…香川照之みたいな人やな…
と内心思っていて、幕間にプログラム確認したら本当に香川照之さんだった。笑
びっくりした。笑
栄御前が花道を通ってハケていくときに近くで顔が見れたのですが、ハケるまでの間全くまばたきをせずに効果音を付けるなら「グゥオッ」て感じの眼差しで歩いて行ったのが印象的でした。
目力凄かったわ…あれ、毒盛らせたの絶対栄御前でしょう…?笑
ステージ演出が派手
花道があるだけかと思いきや舞台の下から上がってくるせりがあったり、滑り降りれるようにせりが滑り台みたいになってたり、ステージが回転してでっかいネズミのセットが出てきたり(そのねずみは煙吐きながら動く)、今回の講演ではありませんでしたが演者を上から吊ったりもするらしい…
ライティングもいろんな変化があり現代の技術が使われた舞台演出がありました。
歌舞伎座の座席後方の景色は

こういった感じで2階席の部分が天井で前にせり出していて舞台の上の方見えへんやん…
と最初の方は思っていましたが、なんとこの天井で隠れないギリギリのラインで横幅広く演出されていました。
上は使われないようです。
見せ場が客席と共有されている
ちょっと小難しい見出しになってしまったのですが、これはあまり内容がわかっていなかったとしても、あ、ここが見せ場だ。というのが分かるということです。
演者も「いくぞ?」という空気を作っていて観客もそれを感じて「くるぞ」と思っている。
そしてバシッと決まった時にわぁっと拍手が起こる。
これは歌舞伎に関わらず舞台に立つ人なら分かる瞬間かもしれません。
自分は見せ場だと思っていても観客がそれを見せ場だと思っていなかったら客席のリアクションは起こらない。
舞台の終わりに拍手が起こるのはよくあるとして、演じてる最中に拍手が起こるという瞬間を何度も作り出されていて、そこに感銘を受けました。
ここで拍手をする!という暗黙の了解がもしかしたら常連さんの中であるのか…?
とも思いましたが、歌舞伎を初めて観る私でもその場面では自然と拍手をしていましたし、「くるぞ」「きたー!」という感覚が味わえたのでこれはもうあっぱれ。
場を制していました。拍手するしかないし拍手したくなる。
暗黙の客席と演者のコミュニケーションをとても感じました。
まとめ
今日図書館で歌舞伎に関する本を読んでいたら
「変化を受け入れていくのが歌舞伎」
と書かれた部分があって、かなり納得した部分があります。
激しい弾圧を受けても変化を経てまた復活し、こうして現代まで語り継がれている。
新しく生まれた技術も取り入れつつしっかり伝統を守っていく…そんな印象でした。
歌舞伎。これぞ日本の伝統の粋。
海外の煌びやかな文化に目が眩んでいたけど
日本も捨てたもんじゃない。
むしろ最高にイカしてるとも思える。
歌舞伎をかっこいいと思える人間になれてよかった。
もし興味はあるけどためらっている人がいるならぜひ観に行ってみてほしいです。
公演終わりに、歌舞伎座の下にあるお土産コーナーにある茶屋でからあげ定食(750円)を頬張りながら、舞台であんな存在感を出せる人ってなんなんだろう…という終わりなき答えを考えてたらいつのまにか完食してました。
多分美味しかった。笑
